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不眠の治療法と対策について

 どなたも一度はご経験があると思われますが『眠れない』というのは実に嫌なものですよね。職場や学校、家庭で嫌な事があった、失恋や大切な人との離別・死別など…。原因として真っ先に思い浮かぶのはこういったところでしょうか。これらの様に明らかな原因があり、更に比較的短期で治る不眠であれば大きな心配は無いと思われますが、不眠が長期に続くと問題です。


 明らかな原因があっても長期化したり、明らかに『これだ』という原因が思い浮かばないのに起こる不眠であれば、何らかの原因(疾患)の存在を疑わなくてはなりません。心の病(精神疾患)においては、かなりの高頻度で不眠が現れます。更に厄介なのは精神疾患が不眠を引き起こし(悪化させ)、不眠が更にその精神疾患を悪化させるという悪循環が往々にして起こります。精神疾患の治療の第一歩として『きちんとした睡眠を確保する』事は必要不可欠なのです。


不眠の治療法といえば多くの方がまず思いつくのは『睡眠薬(睡眠導入剤)』でしょう。 睡眠薬というと『癖になる(中毒)、やめられなくなる』というイメージを持たれがちかと思われます。『睡眠薬が無いと眠れない様になってしまった』と言う人は決して珍しくはありませんが、この様な場合も適切な方法を取れば止められるケースも十分あります。


 ポイントとしては『急に止めずに少しずつ止めて行く』事です。 長い事睡眠薬を飲んでいると『睡眠薬を飲んで眠る事』が身体にとって当たり前の事になってしまい、急に止めると突然『身体のバランスが崩れた』状態となってしまいます。結果として反動で不眠を起こし『やはり睡眠薬は止められない』という事になってしまうのです。


 この様な事にならないために『少しづつ止めて行く』事が必要なのです。具体的な方法としては飲む量を半量にする、一日置きに飲む様にする、などといった方法です。こうする事によって少しずつ睡眠薬が少ない状態・無い状態に身体を慣らして行きます。暫く続けるうちに『自然な睡眠』に戻って行くのです。


 また睡眠薬以外での対策として以下のような事が挙げられます


①できるだけ日中に日光を浴びる事
 これによって日中の覚醒度が上がり、夜間の睡眠が改善されます。 当たり前の事ですができるだけ活動する事も大切です。また、日光によって日内リズム(体内時計)がリセットされる事により睡眠・覚醒のリズムが整います。


②眠ることにこだわり過ぎない
 (翌日の仕事・学業などの為にきちんと眠ることは当然大切ですが)寝付きが悪い時に気にし過ぎると、この事が寝つきを悪くしてしまいます。布団の中で悶々としているよりは思い切って何か気分転換をするのも意外と良い結果となります。


③加齢と共に必要な睡眠時間は減って行きます
 ご高齢の方に多いのですが『少ししか眠れない』と言うのですが具体的に聞いてみると多くの方は5~6時間は眠れています。『昼間の生活に影響は無いけれど、あと1~2時間は寝たい』と薬の増量や変更を望まれるのですが、こういったケースでは増量・変更は望ましくありません。若い頃のベストの睡眠時間のイメージが残ってしまっているので、結果的に必要以上の睡眠を求める事になってしまうのです。『今の睡眠時間で十分なんだ』と自分に言い聞かせる事も大切です。


敬愛クリニック 中島 克恵 先生

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