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流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)がおこすムンプス難聴について

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身近な医療情報

流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)がおこすムンプス難聴について

 皆様のお子様はおたふくかぜの予防接種は受けておられるでしょうか。定期予防接種が増え、そのスケジュール管理が複雑になっていますが、その定期予防接種にはおたふくかぜの予防接種は含まれておりません。そのため、任意接種(自費となります)として1歳以降に接種する必要があります。


 おたふくかぜは2~3週間の潜伏期を経たのち、片側あるいは両側の唾液腺の腫脹、発熱で発症し、通常1~2週間で自然軽快します。合併症として急性の感音難聴がおきることもあり、「ムンプス難聴」と呼ばれています。難聴は片側の耳だけでなく両側の耳に起きることもあり、ステロイド投与等の治療を行いますが、治療効果に乏しく完全に回復することは難しいとされています。


 これまで、ムンプス難聴の発症率はおたふくかぜ患者の1000人に1人程度と考えられておりました。2017年の日本耳鼻咽喉科学会による「ムンプス難聴の全国調査結果報告」によると、2015年1月~2016年12月までの2年間で348人がムンプス難聴と診断され、このうちの303人に難聴(片側287人 両側16人)が残ったことが判明しました。


 ムンプス難聴の正確な発症率は今回の調査では不明ですが、2年間で300人以上の新たなムンプスによる難聴の発症を認めており、不顕性感染(耳下腺が腫脹しない軽症)の場合には、原因不明の難聴と診断されるため、実際はもっと多いと考えます。


 現在、ムンプスウイルスに対して有効な抗ウイルス剤はありませんので、集団生活の前にワクチンで予防しておくことが有効な感染予防対策となります。小児科学会でも、免疫を早期に付け確実に維持するために、ワクチンを1歳時と就学前の2回(MRワクチンと同時に接種)することを推奨していますので、未接種の方はかかりつけの医師にご相談下さい。


あらいこどもアレルギークリニック 新井 真人 先生

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