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片方の耳が聞こえていないと言われたら

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片方の耳が聞こえていないと言われたら

 2025年に東京でデフリンピックが開催されることになりましたが、これは55dB以上の両側難聴者が補聴器や人工内耳をはずして競技を行うもので、100年近い歴史があります。そこで今回は難聴の話題にと思います。


 片方の耳が聞こえない方(一側性難聴)はムンプス難聴など後天的なものも含めると結構多く、医師にもおります。先天的な一側重度難聴も1000人に1人くらいみられますが、かつては片耳の聞こえが正常であれば放置であり、聴力改善手術が可能でも本人の意思が確認できる年齢になってからとされていました。


 実際には小児の一側性重度難聴は両側中等度難聴と同等以上の配慮が必要で、最大の問題は「雑音下での言葉の聞き取り」が困難になることです。特に小児では周囲の雑音の影響を受けやすく、聞き取れないとコミュニケーションや学習の問題が生じます。そのため小児の場合は一側性難聴であっても手術で聴力を改善できる場合は早期に行うことが勧められ、悪い方に補聴器をつけて効果がある場合は補聴器を活用します。


 また悪い方への補聴器が無効であればよい方の耳に補聴器をつけ、補聴援助システムで音声を直接届けることが教育現場で行われています。2013年にフォナック社からデジタル無線式補聴援助システムであるロジャーが発売されて以来、学校ではロジャーが主流になり、また同時期に開始された東京都の軽中等度難聴児に対する補聴器購入費助成事業により購入費用が補助されています。


 なおデジタル補聴援助システムは他にも発売されており、助成事業でまかなえる金額内ということでリサウンドなどの機種が選ばれることもあるようです。小児難聴の治療・療育は変わりつつありますが、療育で最も大事なのは保護者の愛情であり、最も避けるべきなのは愛情をそこなうことであると筆者は考えています。一側性難聴は幼少期にはテレビなど周囲の雑音を消し静かな環境で話しかけ言語発達を促せばよいと思っています。


つくし野耳鼻咽喉科 泰地 秀信 先生 

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