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成長曲線を活用して健やかな成長を確認しましょう
最近は子どもの身長を気にされる親御さんが増えています。大切なことは、子どもの成長を正確に評価し、低身長などの成長障害が隠れているかを知ることです。この成長を評価するツールが「成長曲線」です。毎年の健診で測った身長・体重の記録を母子手帳などの成長曲線にプロットし、どういう伸び方をしているかを見て確認しましょう。その際、身長がマイナス2.0SD(標準偏差)あるいは3パーセンタイルより低い、伸び率が低下した、横ばいになっているなどの異常があれば要注意です。
低身長には問題のない家系的なもの、アレルギーなどの対策で誤った食事制限をしたことによる低栄養が原因のもの、甲状腺の病気や成長ホルモン分泌不全によるものなどがあります。また、成長ホルモンが分泌されている脳下垂体のそばに腫瘍ができることなど、重篤な病気が原因のこともあります。
成長ホルモン分泌不全性低身長症などの場合には、身長がマイナス2.0SD(あるいはマイナス2.5SD)以下なら成長ホルモン補充療法を考慮します。子どもは思春期に入ると一気に身長が伸びて、やがて骨が成熟して身長の伸びが緩やかになりますので、早めに気がつけるとよいでしょう。
また、在胎週数の標準的な身長・体重に比べて、小さく生まれた赤ちゃんをSGAといいます。そうして生まれた時から小柄な子どもも、通常は3歳ぐらいまでに8~9割は問題のない程度にまで身長が追いつきます。しかし1~2割の子どもは3歳以降も小柄のまま推移して大人になります。こうした子どもは、成長ホルモンで治療することにより生活に支障がないレベルの身長までに大きくなります。
子どもの成長を評価することは、病気を見つけるだけでなく普段の子どもの健康をチェックするためにも大切です。成長曲線を有効に活用しましょう。
しのはら小児クリニック 石黒 寛之 先生