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服薬コンプライアンス -お薬を飲み続けるということ-

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服薬コンプライアンス -お薬を飲み続けるということ-

 朝日新聞朝刊の2月8日付の紙面によると、抗不安薬、睡眠薬、精神安定剤として医療機関で処方されたベンゾジアゼピン系薬剤による「処方薬依存症」が深刻だという。確かに、処方を希望する多くの方が、コンビニで買い物をする気軽さで一般内科を訪れる。この記事は医師の安易な処方に警鐘を鳴らすものだが、その一方で「お薬を飲み続けなければならないの?」と、投薬に対する嫌悪感や恐怖心をあらわにする方も多い。


 こういった現象は高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の処方で多くみられる。この言葉には「一度飲んだらやめられない、やめたら悪化する」など、かなり否定的なニュアンスが含まれており、投薬の必要性すら疑問視しているようにも感じられる。なぜなら、生活習慣病は重症でないかぎりこれといった自覚症状に乏しいからであろう。


 しかし、生活習慣病を放置すると脳・心血管イベントといって、脳卒中や心筋梗塞で突然死したり寝たきりになって、家族や周囲の者たちをも苦境に陥れることになる。生活習慣病の治療では食事・運動療法といった生活習慣の改善とともに薬物療法がおこなわれる。治療効果を十分得るためには双方の治療を継続する必要があり一時的であってはならない。治療の最終目標は脳・心血管イベントの予防であって、血圧や血糖値、体重を減少させることではない。


 治療によって得られた良好な状態を持続させてこその治療戦略であり、「お薬を飲み続ける」ということ、つまり「服薬コンプライアンスが良い」ということは、目標に到達するための必須条件なのである。


 Dr. はん診療所 韓 一秀 先生  

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