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「癌」でも楽に死ねる「緩和ケア」

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身近な医療情報

「癌」でも楽に死ねる「緩和ケア」

 日本人の死因の1位はガン、2位は心臓疾患、3位は脳血管疾患、4位は肺炎です。2人に1人は癌になると言われています。


 強い痛みや息苦しさもとれて夜眠れるような環境は、末期の患者を専門に扱う「ホスピス」に備わっています。しかし今の日本には公の施設が少なくて長く待たされるし、民営は費用がかさみます。高齢化が世界一速く進んでいる日本では増設が急務です。自宅で静かに死を迎えたい方も多いです。介護する人の労力が大変で、それを支援する訪問看護師、ヘルパー、医師が不可欠です。


 この場合も痛みからの解放が必須でモルヒネ等の麻薬が中心となります。麻薬?覚せい剤、ヘロイン、コカイン、LSDの仲間だ、とんでもない!と驚くでしょうが医師が治療に使うかぎり心配ありません。痛みの強さに応じた段階的な鎮痛薬が使われます。副作用の便秘、吐き気、眠気、幻覚などには医師が対応します。シンナーの吸入から始まって、あっという間にマリファナ、コカイン、ヘロインと進んで本人の体を蝕み、家族、友人をも巻き込む悲惨な「薬物中毒」とは全く違います。


 ちなみに主要国国民の薬物経験率は米国が70%、フランス・イタリア・イギリスは47%、ドイツは35%とすごい数字です。我が国はわずか1.7%で、当局の努力と潔癖な国民性によるものと思います。しかし患者の死後、家族に聞くと「苦痛なく過ごせた」例は半数以下です。医療用麻薬の100人当たりの消費量は米国の1/40、ドイツの1/20、数年前には韓国以下となって、まさにこの分野で日本は後進国です。不治の病に取りつかれて辛いときには決して我慢せずに、薬の力を借りて、限られた時間を大切に過ごしましょう。


沼田医院 沼田 宣雄 先生

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