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「ストレス」ということ

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「ストレス」ということ

 ストレスという言葉は古くからあるが、この言葉を「ストレス学説」という論文で初めて医学用語として使用したのはオーストリアの生理学者ハンス・セリエ(1907~1982)です。ストレッサー(ストレス刺激)は人体(生体)に非特異的に作用する有害因子、有害刺激を言うが、その内容は精神的・物理的・化学的・生物的など多岐にわたります。「ストレス学説」はストレスに対する適応症候群(防御反応)であり、その発生機序はストレスが人体に加わると適応ホルモンとして脳の下垂体から副腎にACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が分泌されさらに副腎は副腎皮質ホルモンを分泌して人体を保護します。人体にストレス刺激が加わりストレス状態が続くと通常次の3期の過程を経て病状が進行します。


第1期(警告反応期)
 この警告反応はストレス刺激をうけた最初の時期にあらわれ、ストレス刺激の種類にかかわらず人体にきまりきった反応と非特異的な各種症状を起こします。またストレス刺激が弱すぎも強すぎもしない場合には警告反応は2つの相すなわちショック相と反ショック相に区分されます。ショック相は症状が軽い場合で適応ホルモンの関与はない場合であり、他面反ショック相はショックに対する防御反応の時期でありショック相とは反対の病状を呈します。


第2期(抵抗期)
 抵抗期とは当初与えられたストレス作因(刺激)に対しては抵抗は強いが他のストレス作因に対しては反ショック期よりもかえって弱くなることです。いわば他のストレス作因に対する抵抗力を犠牲にして今与えられているストレス作因に対して全抵抗力を傾け尽した形となります。


第3期(疲憊期)
 抵抗期が長く続くと適応反応を維持しきれなくなって抵抗期とはちがった症候群があらわれてきます。これは生物の適応エネルギーには限度があるために適応力が衰えてゆくためで人間の生命に危険をもたらします。


 人間は個人的にストレス刺激に対する感受性が異なっているが、他面人間は各種ストレスに適応して精神的にも身体的にも健全な成長を遂げたいものです。最後に人間はストレスなしでは人間の生存は不可能であり、その様な観点からすれば我々は日頃のストレスに感謝せねばならないでしょう。


佐久間内科小児科医院 佐久間 由吉 先生

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