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サッカーと足の障害

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身近な医療情報

サッカーと足の障害

 電話でこんな問合わせがありました。
『1ヵ月ほど前に足をひねり、かなり腫れましたが、冷やして湿布をしたところ腫れがひきました。サッカーを20年以上やっているので捻挫は何回か経験していますが、今回は少し様子が違って、いまだに歩くと痛みがあり、足に力を入れると鈍痛がします。単なる捻挫ではないのでしょうか。3週間後に試合があり、どうしても出場したいのですが。』
 というものでした。


 スポーツの怪我の中で、足首の外傷は膝に次いで第2位を占めるほど多いのですが、なかでも捻挫の頻度は、約70%を占めているのです。捻挫が多い競技種目としては、バスケット、サッカー、体操の順になっています。


 また、捻挫はスポーツでなくても起こすことが多いポピュラーな怪我であるために放っておかれたり、しろうと療法ですましてしまわれがちな怪我でもあります。しかし、捻挫のあとに後遺症が残る可能性も多く慎重な治療が必要です。


 捻挫というのは外からの強い力で、関節が正常範囲を超えて動かされたために、関節包や靱帯などの軟らかい組織が損傷を受けるものです。


 足関節には、外側と内側に靱帯があり、足首を固定しています。一般的に捻挫で損傷しやすいのは外側の靱帯です。外側には前・後の距腓(きょひ)靱帯と踵腓(しょうひ)靱帯がありますが、その中で重要なのが前距腓靱帯です。この靱帯が伸びたり切れたりすると、歩くときに足首が不安定になります。


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 1ヵ月前に怪我をしたのに痛みがとれない、足首に負荷がかかると鈍痛があるという場合には、前距腓靱帯の部分断裂があるのではないかと考えられます。


 外側靱帯が損傷する捻挫は、程度によって軽い順にⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度にわけられます。


 Ⅰ度は腫れや運動痛が少なく外側靱帯に圧痛があるものです。この場合には約2週の固定が必要です。Ⅱ度は靱帯の部分断裂で靱帯が引っ張られる方向に動かすと痛みます。この場合には3週程のギプス固定、またはテープ固定が必要です。Ⅲ度は靱帯の完全断裂で、強い痛みのほか、足首がグラグラするなど足関節の動きに異常が出ます。ときに手術が必要になりますし、ギプスやテープで1ヵ月は固定しなければなりません。


 捻挫は初期治療がとても大切で、3~4週も放っておくと治りが非常に悪くなります。


 怪我の後に冷やしたり、湿布で治療したのはよいことですが、現在の症状から推測して、Ⅱ度以上の捻挫と考えられますから、固定が必要だったと思います。3週間後の試合に出場できるかどうかがは、靱帯断裂の程度や快復状況、または骨折などが同時に起こっていないかを見極めないと、何ともいえません。早めに整形外科に受診して、指示を仰いでください。


 その結果、サッカーをしてもよい状態で回復していたとしても、必ずテーピングでしっかり足首を固定して運動を行う事が大切です。また、今後もサッカーを続けていくことを望まれる場合は、再び捻挫をする危険もあります。運動する前には入念に足関節周辺のストレッチ体操をすることや、生活の中も足関節周囲の筋力強化を十分にしておくことをおすすめします。


三井整形外科 三井 健二 先生

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