町田市医師会ホームページ

慢性硬膜下血腫と漢方薬

  • HOME »
  • 慢性硬膜下血腫と漢方薬

身近な医療情報

慢性硬膜下血腫と漢方薬

 頭をぶつけてから数ヶ月経過して、頭蓋骨の内側を包む硬膜という膜の内側と脳との間(硬膜下)に血液成分を含んだ液体が徐々に貯まってくるものを慢性硬膜下血腫といいます。これは酒飲みの高齢男性に多い傾向があり、症状としては頭痛から片麻痺、意識障害までさまざまな症状がみられます。なかには認知症と思われていた方が断層撮影(MRIやCT)を撮ってみたら慢性硬膜下血腫だったということもあります。この場合、局所麻酔で穿頭術を行うことで血腫はなくなり、症状も改善します。外科的手術で認知症を治すことができる唯一の疾患です。


 術後の経過としては、ほとんどの方が一度の手術でよくなりますが、中には再発、再貯留して手術を繰り返す例もあります。そこで、五苓散(ごれいさん)という漢方薬を再発予防として、あるいは手術するほどでもない方に内科的治療として投与します。


 この五苓散という漢方薬は漢の時代の傷寒論(しょうかんろん)や金匱要略(きんきようりゃく)という古典で紹介された方剤で、猪苓(ちょれい)、茯苓(ぶくりょう)、蒼朮(そうじゅつ)、沢瀉(たくしゃ)、桂皮(けいひ)という5種類の生薬からできています。主要な成分である猪苓には利尿作用があり、無駄な水分を取り除き、むくみを改善する効果があるといわれています。どうして慢性硬膜下血腫に効くのか、科学的に証明することはできませんが、術後に投与した結果、多くの方で残った貯留液が消退しており、その効果を実感しています。


 他の効用としては、二日酔い、急性胃腸カタル、下痢、嘔吐、めまい、頭痛などさまざまな効果があります。医師の処方する漢方薬は、患者さんが生薬を煎じる必要はなく、顆粒状の薬剤ですから手間もかからず飲みやすくなっています。


 漢方薬の処方については、医師にご相談ください。


やました内科・脳神経クリニック 山下 弘一 先生

PAGETOP
Copyright © 町田市医師会 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.